TADFとは?

有機ELディスプレイの発光層は、電荷の再結合が起こり、有機材料の発光が起こる最も重要な層ですが、発光層は発光体とホストから構成され研究開発の主題となっています。

TADF発光体は、現行世代の有機EL発光体の次の3つの主要な挑戦課題を克服していきます。

  • 現行の赤と緑の燐光発光体にかわる低コストでレアメタル不使用の発光体
  • インクジェット印刷に適した効率的で長寿命な可溶性発光体
  • 効率的で長寿命な青色発光体

TADF分子は、一重項状態と三重項状態との間のエネルギーギャップ(⊿Est)が小さくなるように設計されています。これにより励起状態エネルギー(三重項)から一重項へのアップコンバージョンを可能にし、一重項励起エネルギー状態から遅延蛍光として高効率な発光を実現することができます。

TADFの歴史と未来

TADFは、九州大学の安達教授とその研究所である、最先端有機光エレクトロニクス研究センター(OPERA)で開発されました。TADFの研究は2009年に始まり、近年、世界中の学者や企業による広範囲な研究活動が行われています。2019年、WisechipはKyuluxのTADF/Hyperfluorescence™発光技術を使用した2.7インチの黄色PMOLEDを世界初の商用Hyperfluorescence™ OLEDディスプレイとして発表しました

TADF材料は、高効率(内部量子効率IQE:100%)、長寿命を可能にしますが、発光スペクトル幅が比較的広く有機ELディスプレイの色域が制限されます。

KyuluxのHyperfluorescence™発光は、TADFを蛍光発光材料と組み合わせることで、非常に高効率的で素子寿命が長く、かつ高色純度の発光を実現しました。

これが第4世代の有機EL発光技術とよばれるKyuluxのHyperfluorescence™テクノロジーです。